超硬合金は人口金属の中でダイヤモンドの次に固い金属です。主に一般超硬、サーメット超硬に分類され、使用用途に合わせてお使いいただいております。
・一般超硬とは主成分である炭化タングステン(WC)に結合剤としてコバルト(Co)を加えて結合焼結させた合金です。一般超硬の中で材種がさらに細かく分かれるのは、他の炭化物を混ぜ合わせたり、粒子の大きさを変更したり、コバルトの量で靱性を変更したりすることによるものです。
切削工具用の超硬合金を超硬工具と呼び、その使用用途は大きく分けて3つに分類されます。
・P種 連続形切りくずの出る鉄系金属の材料に対して有効です。主に高強度な鋳鉄に対して有効な材種です。
・M種 連続形、非連続形切りくずの出る鉄系金属、または非鉄金属に有効です。主に鋼、ステンレス鋼、低~中強度鋳鉄、非鉄金属に有効な材種です。
・K種 非連続形の切りくずの出る鉄系金属、及び非鉄金属、または非金属に対して有効です。主に低強度の鋳鉄、非鉄金属、アルミニウム合金、銅合金、非金属に有効です。
それぞれのアルファベットの後ろに01~40までの表記(結合剤の含有量)があり、数字が小さいほど硬度が高くなり、靱性が低下します。
P種 | ダンガロイ | 三菱マテリアル | ダイジェット | サンドビック | MOLDINO | 住友電工 | 京セラ |
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P01 | |||||||
P10 | TX10S | SRT | WS10 | ST10P | |||
P20 | UX30 | UTi20T | SRT,DX30 | SMA | EX35 | ST20E | |
P30 | UX30 | UTi20T | SR30,DX30 | SM30 | EX35 | A30 | PW30 |
P40 | SR30 | EX45 | ST40E |
M種 | タンガロイ | 三菱マテリアル | ダイジェット | サンドビック | MOLDINO | 住友電工 | 京セラ |
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M10 | UMN | H10A | WA10B | EH510,U10E | |||
M20 | UX30 | UTi20T | DX25,UMS | H13A | EX35 | EH520,U2 | |
M30 | UX30 | UTi20T | DX25,UMS | H10F,SM30 | EX35 | A30 | |
M40 | SR30 | EX45 | ST40E |
K種 | タンガロイ | 三菱マテリアル | ダイジェット | サンドビック | MOLDINO | 住友電工 | 京セラ |
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K01 | TH03,KS05 | HTi05T | KG03 | WH05 | H1,H2 | ||
K10 | TH10 | HTi10 | KG10,KT9 | H10.HM | WH10 | EH10,EH510 | KW10,GW15 |
K20 | KS20,KS15F | UTi20T | CR1,KG20 | H13A | WH20 | G10E,EH20 | GW25 |
K30 | UTi20T | KG30 | G10E,EH20 |
現在切削工具で扱われる材料の品質、種類は年々向上傾向にあり、現在では一般超硬よりも硬い材種としてCBN、ダイヤモンド、超微粒子超硬、サーメットなどが高硬度材種として幅広く認知されております。それぞれの材種の硬度については下記リンクにてご紹介させて頂きます。
また多くのエンドミル・ドリルでハイスより超硬が使われているのはハイスより回転数を上げる事で硬度を疑似的に強化し、熱、摩耗に対して効果の得られる超硬を使用する事で1日の切削量を増加させることが可能です。大口に対してその効果は飛躍的に体感できます。
超硬工具はその名の通り、非常に高硬度な物になっております。その為靱性が低く、刃先が欠けたり、剥がれ落ちる不具合が起きます。その為靱性を要する工具鋼等の代替品としてはあまり効力を発揮しません。断続加工時に多く発生する問題でとして超硬工具は衝撃に弱く、欠けや折れる問題が御座います。またコストの面でみると素材代は高く、近年コバルトの相場が高騰している影響もあり、今後も値上がりする可能性が御座います。
高硬度、高品質、高精度が求められる分野で耐摩耗性に優れた超硬工具が重宝されています。自動車部品(エンジン、ステアリング等)や航空機、医療、宇宙開発など品質が悪いと命に係わる様な業界において幅広く貢献しております。
超硬合金を用いた切削工具(超硬工具)を代表するメーカーは以下の通りです。
・㈱タンガロイ(TUNGALOY)
・三菱マテリアル㈱
・ダイジェット工業㈱
・㈱MOLDINO(元、日立ツール株式会社)
・サンドビックツーリングサプライジャパン㈱
・京セラ㈱
・住友電工ハードメタル㈱
・オーエスジー㈱(OSG)
等が有名な超硬工具メーカーとなります。メーカー工具は非常にコストが安く、コーティング状態も優れている為、安定切削、安定供給が実現されております。ホルダーなども非常に安価で手に入るものが多いので、当社に御依頼頂く前に、メーカー工具をお試しいただいたほうが良いと考えます。
日本で初めて超硬合金を導入したタンガロイ、その後の三菱マテリアル、住友電工は日本超硬合金業界の最初の三社として御三家と呼ばれる。
超硬工具の市場規模は約3000億円。切削工具市場規模で段違いの市場規模を誇ります(2位CBNは250億円)内訳はチップ関連が50%を占め、次いでエンドミルが18%、ドリルが14%となっております。
CBN工具等の高硬度材の普及で一度は市場規模を縮小した超硬工具ですが、母材技術の発展により、耐摩耗性に優れた超硬工具が数多く発明され、現在では50%まで市場規模を拡大しております。
年間検索数を見ても超硬工具はCBN工具に約10倍の差をつけ大勝しております。
今後の市場動向は、新たな工具母材開発も行なわれていますが、供給量、価格がテーマとなり、超硬工具のシェア率を脅かすには当面先になる予想です。
超硬工具よりも硬度が高く、靱性の高い超硬材種に超微粒子超硬と超々微粒子超硬があります。最近では耐摩耗性、強度等も含め、一般超硬よりも優れており、材料価格も大きく変わりが無い為、超微粒子超硬が主流となってきています。
超硬工具の製作、販売を主業務として操業している当社では超硬工具をより精密に研磨加工する事が可能です。メーカー品の多くはG級、M級である中、当社ではE級以上の物の製作を主に行っております。主に仕上切削時に切削数、研磨面粗度等の観点で非常に有効な性能となっております。また、20種類以上の材種、コーティングからのオーダメイド製作、メーカーでは取扱する事の少ない溝入れ、端面溝入れ、ネジキりなどの1パス加工を可能にする総型チップの製作が可能です。
工具の摩耗や、仕上面粗さでお悩みのお客様から様々なお褒めの言葉を頂いております。
総型チップの製作を可能にする確かな管理、技術をぜひ一度お試しください。