ここでは代表的な被削材について解説いたします。
S=Steel:鋼 C=Carbon:炭素 K=工具
・普通鋼(圧延鋼材:SS○○○)
鉄鋼材料の中でももっとも一般的な材料。硬度が比較的低く、低温時にも靱性が保たれる。
○○○=引張強さ(N/mm2)を表す。例:SS300,SS400
・特殊鋼
機械構造用炭素鋼:S○○C
炭素含有量0.08%~0.6%。炭素鋼の中でも使用率の高い鋼材。
○○=炭素含量 例S45C=0.45%
特殊用途鋼鋼材:SUS○○○
通称ステンレス。ニッケルやクロムを添加して耐食性を向上させた鋼材。炭素含量が1.2%未満で、クロムを10.5パーセント以上含んだ鋼材。
○○○=ニッケルやクロムの含有量を識別する為の記号 例:SUS301,SUS403
工具鋼鋼材:SK○○○
炭素が0.6%~1.5%含まれ、硬度や耐摩耗性に優れる鋼材。高温になると硬度が低下する。
○○○=炭素含有量 例:SK120,SK140
ハイス鋼:SKH○○
タングステン系やモリブデン系に分類され、モリブデン系の方が低硬度で靱性に優れる。
○○=炭素含有量 例:SKH2,SKH50 2~10がタングステン系となる。
・鋳物鋼
鋳造…金属を溶かし、鋳型に流し込んで成型する方法
→(Casting) 内部に気泡(巣孔)ができやすく、鍛造鋼より脆い
鍛造…金属を加熱しプレス機などで圧力をかけて成型する方法。
→(Forging) 金属分子が均一になり強度、靭性が非常に高い。
鋳鋼…鋼を鋳型に流し込み、冷却して固めた鋼の一種。鋳鉄よりも強度は高いが、鍛造鋼よりは脆い。
炭素鋼鋳鋼材:SC○○○
炭素鋼を鋳物にした金属材種。普通鋳鉄に比べ、強度が高い。加工や切削は困難な材種。
○○○=引張強さを表す(N/mm2) 例:SC360,SC450
・鋳鉄
鉄を鋳型に流し込み、冷却して固めた金属が一般的。硬度は高くなるが伸び率に乏しく、もろい性質。
ねずみ鋳鉄:FC○○○
グラファイト(黒鉛)を含んだ鋳鉄。炭素、黒鉛を多く含むため、耐摩耗性や耐熱性に優れるがもろく弱い性質。
○○○=引張強さを示す(N/mm2) 例:FC100,FC150
球状黒鉛鋳鉄:FCD○○○
ダクタイル鋳鉄と呼ばれ、含まれる黒鉛が球状化している鋳鉄。球状化していることにより、ねずみ鋳鉄よりさらに滑りがよく、耐摩耗性や耐熱性に優れる。
○○○=数値が350以上超える鋳物は強靭鋳鉄になる。 例:FCD350,FCD400